「頭皮が硬いとハゲる」「血行を良くすれば髪が生える」といった説は根強く、育毛マッサージに励む男性は後を絶ちません。では、頭皮の血行不良はAGAの直接的な原因なのでしょうか。結論から言えば、血行不良はAGAの「根本原因」ではありませんが、薄毛を進行させる「増悪因子」であることは間違いありません。AGAの根本原因は、あくまで男性ホルモン(テストステロン)が変換されたDHTによるヘアサイクルの乱れです。血行がどれだけ良くても、DHTの影響を強く受ける遺伝的素因があれば、薄毛は進行します。しかし、だからといって血行をおろそかにして良いわけではありません。髪の毛は、毛乳頭が毛細血管から酸素や栄養素を受け取り、それをエネルギー源として毛母細胞が分裂することで成長します。つまり、血液は髪の毛の「食事」を運ぶライフラインなのです。もし頭皮の血行が悪くなれば、毛根への栄養補給が滞り、髪の毛は飢餓状態に陥ります。栄養不足の髪は太く育つことができず、細くひょろひょろとした状態になり、抜けやすくなります。特に、AGAを発症している毛根は、ただでさえDHTの攻撃を受けて弱っている状態です。そこに血行不良という追い打ちがかかれば、ダメージは計り知れません。また、現代人はデスクワークやスマートフォンの使用で首や肩が凝り固まっている人が多く、頭皮への血流が阻害されやすい環境にあります。さらに、ストレスで自律神経が緊張すると血管が収縮し、ますます血行が悪くなります。AGA治療薬として知られるミノキシジルは、血管を拡張して血流を改善する作用を持っています。これは、血行を良くすることが発毛に有効であることを医学的に証明しています。つまり、血行不良自体がAGAのスイッチを入れるわけではありませんが、AGAによる薄毛の進行を加速させ、治療の効果を妨げる要因にはなるのです。したがって、AGA治療においては、フィナステリドなどでホルモンの原因を抑えつつ(守り)、ミノキシジルやマッサージなどで血行を良くして栄養を届ける(攻め)という、両面からのアプローチが最も効果的とされています。毎日の頭皮マッサージや適度な運動、入浴などで血行を促進することは、決して無駄ではなく、髪が育ちやすい豊かな土壌を作るために必要な習慣なのです。