これまでのAGA検査といえば遺伝子検査が主流でしたが、最近新たに注目を集めているのが「毛髪ホルモン量測定キット」です。遺伝子検査が「生まれ持った体質(設計図)」を調べるものであるのに対し、毛髪ホルモン量測定キットは「現在の身体の状態(今の現場の状況)」を調べるものです。この二つは似て非なるものであり、知ることができる情報の質が全く異なります。AGAの直接的な原因物質は「ジヒドロテストステロン(DHT)」という男性ホルモンです。このDHTがどれくらい体内で生成されているかは、AGAの進行リスクを知る上で非常に重要な指標となります。しかし、血液中のホルモン濃度は日内変動(一日の間での変動)が激しく、採血した瞬間の値しかわかりません。そこで開発されたのが、髪の毛に含まれるホルモン量を測定する技術です。髪の毛は一ヶ月に約一センチ伸びますが、その成長過程で血液中のホルモンが取り込まれ、蓄積されていきます。つまり、数センチの髪の毛を調べることで、過去数ヶ月間にわたるホルモン量の平均値、いわば「ホルモンの履歴書」を知ることができるのです。 このキットで測定されるのは、主にDHTの量です。もし、あなたの髪の毛から検出されたDHTの量が平均よりも明らかに多い場合、あなたは現在進行形でAGAのリスクにさらされている、あるいはすでに進行が始まっている可能性が高いと言えます。遺伝子検査で「リスクが高い」と出ても、実際に体内で悪玉ホルモンが暴れているかどうかまでは分かりませんでしたが、この測定キットなら「今、まさに攻撃を受けているかどうか」が分かるのです。これは、治療を始めるタイミングを判断する上で非常に強力な材料になります。また、すでに治療を開始している人にとっても、このキットは有用です。フィナステリドなどの薬を飲んでいる場合、薬が効いていればDHTの量は減っているはずです。定期的に測定することで、「薬がちゃんと効いているか」「ホルモン量が下がっているか」を客観的な数値としてモニタリングすることができるのです。使い方も簡単で、根元付近でカットした髪の毛(三センチ程度)を数本から十数本、専用の台紙に貼って送るだけです。痛みもなく、誰にも会わずに検査が可能です。遺伝子検査は一生に一度行えば十分(遺伝子は変わらないため)ですが、ホルモン量は年齢や生活環境、治療によって変化するため、定期的に測定する意味があります。「生まれつきの体質」を知る遺伝子検査と、「今のリスク」を知るホルモン量測定。この二つを組み合わせることで、より精度の高い自己分析と、最適な薄毛対策が可能になるのです。