近年、二十代や三十代といった若い世代の間で、薄毛に悩む人が急増しています。いわゆる若年性脱毛症ですが、その背景には現代社会特有の過度なストレス環境が大きく関わっていると考えられています。本来、男性型脱毛症は遺伝的要因やホルモンバランスの影響が強い症状ですが、ストレスはこれらの要因を増幅させる触媒のような働きをします。人間は強いストレスを感じると、自律神経の交感神経が優位になり、常に緊張状態に置かれます。すると血管が収縮し、全身の血行が悪くなります。頭皮の毛細血管は非常に細いため、血行不良の影響を真っ先に受けやすく、髪の毛を作る毛母細胞に栄養が届かなくなってしまいます。また、ストレスに対抗するために身体はコルチゾールというホルモンを分泌しますが、このホルモンの過剰分泌はホルモンバランス全体を乱し、男性ホルモンの働きにも悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、現代の若者はスマートフォンやパソコンの長時間使用による眼精疲労、睡眠不足、不規則な食生活など、髪にとって過酷な環境に身を置いています。これらが複合的に絡み合い、本来であればまだ発症しないはずの年齢で薄毛が進行してしまうのです。職場の人間関係や将来への不安など、ストレスの原因を取り除くことは容易ではありません。しかし、自分なりのストレス解消法を見つけたり、意識的に休息をとったりすることは可能です。若年性の脱毛は進行が早いため、放置すると取り返しがつかなくなることもあります。もし若くして抜け毛が増えたと感じたら、それは身体が発しているSOSサインかもしれません。単なる美容の問題と捉えず、自分のライフスタイルを見直すきっかけとして受け止め、早めに対策を講じることが、髪と心身の健康を守ることにつながります。男性型脱毛症は進行性の症状であり、現代の医学をもってしても完全に「完治」させて治療を終了することは難しいのが現状です。治療をやめれば再び薄毛が進行してしまうため、多くの人はこの症状と長く付き合っていく必要があります。