AGA治療に年齢制限はあるのか?原則と現実を解説
AGA(男性型脱毛症)の治療を検討する際、多くの人が抱く疑問の一つに「年齢制限」の有無が挙げられます。結論から言うと、AGA治療には明確な法律上の年齢上限は存在しないものの、治療を開始する下限年齢については、医療現場で設けられている事実上の基準が存在します。一般的に、AGA治療で中心となる内服薬、フィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)の処方は、原則として「20歳以上」の成人男性が対象とされています。これは、これらの薬剤が男性ホルモンに作用する性質上、身体がまだ発達段階にある未成年者への安全性と有効性が十分に確立されていないためです。骨格の成長や性機能の発達に予期せぬ影響を及ぼすリスクを避けるための、医療倫理に基づいた慎重な判断と言えるでしょう。したがって、10代で薄毛に悩みクリニックを受診しても、内服薬の処方は見送られるケースがほとんどです。一方で、治療を受ける上限年齢については、特に厳しい制限はありません。60代、70代、あるいはそれ以上の高齢者であっても、医師が健康状態に問題ないと判断すれば治療を開始することは可能です。ただし、年齢が上がるにつれて高血圧や心疾患などの持病を持つ方の割合が増えるため、治療薬との相互作用や副作用のリスクをより慎重に評価する必要があります。また、高齢者の場合、若年層ほどの劇的な発毛効果は期待しにくいという現実もあります。年齢は、AGA治療における絶対的な壁ではありませんが、治療の選択肢や期待できる効果、そして伴うリスクを左右する重要な要素であることは間違いありません。治療を考える際は、自身の年齢と健康状態を正直に医師に伝え、最適な治療計画を共に立てることが何よりも大切なのです。