AGA治療費は医療費控除の対象になるのか
保険適用が難しいAGA治療ですが、年間の医療費負担を軽減する方法として「医療費控除」という制度の活用が考えられます。医療費控除とは、一年間に支払った医療費の合計が一定額(原則として10万円)を超えた場合に、確定申告を行うことで所得税や住民税の還付・軽減が受けられる制度です。ここで重要になるのが、AGA治療費がこの「医療費」として認められるかどうかという点です。国税庁の見解によれば、「容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しない」とされています。この一文だけを見ると、AGA治療は対象外のように思えます。しかし、一方で「医師等による診療又は治療のために支払った費用」は医療費に該当するとも定められています。つまり、AGAを単なる美容上の悩みとして自己判断で市販の育毛剤などを購入するのではなく、専門のクリニックを受診し、医師が「治療が必要」と診断したうえで行われる医療行為であれば、その費用は医療費控除の対象となる可能性が高いのです。具体的には、医師の診察代や処方された治療薬(フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなど)の購入費用がこれに該当します。対象とするためには、必ず医療機関が発行した領収書を保管しておく必要があります。年間の治療費が10万円を超える方は、翌年の確定申告の時期に忘れずに手続きを行いましょう。保険適用とは異なりますが、これは国が認めた正当な節税策の一つです。AGA治療の経済的負担を少しでも軽くするために、医療費控除の仕組みを正しく理解し、活用を検討する価値は十分にあると言えるでしょう。