AGA治療を考えたとき、必ず耳にするのが「フィナステリド」と「デュタステリド」、そして「ミノキシジル」という三つの代表的な有効成分です。これらはAGA治療の三本柱とも言える存在ですが、その使い方や注意点は、患者の年齢によって考慮されるべき点が異なります。まず、「フィナステリド(商品名:プロペシアなど)」と「デュタステリド(商品名:ザガーロなど)」は、AGAの根本原因である男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える内服薬です。これらは「守り」の治療薬と称され、抜け毛の進行を食い止める上で中心的な役割を果たします。これらの薬の添付文書には、投与対象として「男性成人」と明記されており、臨床試験も20歳から50歳程度の男性を対象に行われたデータが基になっています。そのため、医療現場では原則として20歳未満の未成年者への処方は行われません。これは、成長期の体への安全性が確立されていないためです。また、高齢者への投与は禁忌ではありませんが、肝機能が低下している場合が多いため、薬の代謝が遅れ、副作用が出やすくなる可能性を考慮し、慎重な投与が求められます。一方、「ミノキシジル」は、もともと血圧降下剤として開発された成分で、頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す「攻め」の治療薬です。外用薬(塗り薬)と内服薬(ミノキシジルタブレット)がありますが、特に外用薬は20歳未満でも使用可能な製品が存在します。そのため、内服薬が使えない若年層の薄毛対策として、選択肢の一つとなり得ます。ただし、これも医師の指導のもとで使用することが望ましいでしょう。年齢によって、使える薬、推奨される薬は異なります。自己判断で薬を選ぶのではなく、必ず専門医の診断を受け、自分の年齢と体の状態に合った、安全で効果的な治療法を選択することが成功への鍵となります。
フィナステリドとミノキシジル年齢で変わる使い方