AGA(男性型脱毛症)の本質は、「髪が抜けること」よりもむしろ「髪が育たなくなること」にあります。これを専門用語で「軟毛化(なんもうか)」あるいは「毛包のミニチュア化」と呼びますが、この現象に気づけるかどうかが、AGAを初期段階で見分けるための最大の鍵となります。多くの人は、洗髪時や枕元の抜け毛の本数ばかりを気にしますが、本数が増えるのはある程度進行してからの話です。それよりもずっと前の段階で、今生えている髪の毛に異変は起きています。軟毛化とは、これまで太く長く育っていた硬毛が、ヘアサイクルの短縮によって成長期間を奪われ、細く短く色も薄い、頼りない毛に変わってしまう現象を指します。具体的にどのような変化として現れるのかを見ていきましょう。まず、手で髪を触った時の感触が変わります。以前は剛毛でゴワゴワしていた髪が、なんとなく柔らかく、猫っ毛のような手触りになっていないでしょうか。次に、ヘアセットの時の変化です。ワックスやジェルで髪を立たせようとしても、根元のコシがないためにすぐにへたってしまったり、一度決めた髪型が長時間キープできなくなったりします。また、美容室に行く頻度が減ったと感じるのもサインの一つです。髪が伸びるスピードが遅くなるため、「そろそろ切らなきゃ」と思う間隔が長くなるのです。さらに、視覚的な変化としては、地肌の透け感が挙げられます。髪の本数自体は変わっていなくても、一本一本が細くなれば、髪全体の体積(ボリューム)は激減します。その結果、光の加減で頭皮が透けて見えるようになります。特に、前髪を下ろした時に以前のような厚みがなく、すだれ状に隙間ができておでこが見えるようになったら、前頭部の軟毛化が進行している証拠です。自分の髪を一本抜いて(あるいは抜け毛を拾って)、後頭部や側頭部の髪と比較してみるのも有効な見分け方です。AGAの影響を受けにくい後頭部の髪は太くしっかりしているはずです。もし、前頭部や頭頂部の髪が、後頭部の髪に比べて明らかに細かったり、色が薄かったりする場合は、AGAによる軟毛化が起きていると断定してほぼ間違いありません。この軟毛化の段階で治療を開始できれば、毛包はまだ完全に機能を失っていないため、太い髪を取り戻せる可能性は非常に高くなります。抜け毛の本数だけでなく、「髪の質」の変化に敏感になることこそが、賢いAGAの見分け方なのです。
AGAの軟毛化現象こそが薄毛を見分ける最大の鍵