日本のAGA治療において、内服薬の処方が原則20歳以上とされていることは広く知られていますが、海外では年齢制限に関してどのような考え方がされているのでしょうか。世界的な視点を持つことで、日本の医療の立ち位置を客観的に見つめることができます。まず、AGA治療の先進国であるアメリカに目を向けてみましょう。アメリカ食品医薬品局(FDA)がフィナステリド(Propecia)を承認したのは18歳以上の男性に対してです。日本の20歳という基準よりも少し低い年齢から公式に認められていることがわかります。これは、法的な成人年齢の違いなどが背景にあると考えられます。ただし、FDAも青少年への使用は推奨しておらず、安全性への懸念は日本と共通しています。ヨーロッパ各国でも、概ね18歳以上を対象とするのが一般的です。欧州医薬品庁(EMA)のガイドラインも、成人男性を対象としており、未成年者への処方には極めて慎重な姿勢を示しています。つまり、「成長期にある若者へのホルモン作用薬の投与は避けるべき」という医学的なコンセンサスは、世界共通であると言えるでしょう。一方、上限年齢については、どの国でも明確な制限を設けているケースは稀です。日本と同様、高齢者への投与は可能ですが、個々の健康状態や併用薬を考慮して、医師がその都度リスクとベネフィットを判断するというのが世界標準です。このように比較してみると、日本の「原則20歳以上」という基準は、世界的に見ても特に厳しいわけではなく、国民の安全性を最優先に考えた、非常に標準的で妥当なものであることが理解できます。未成年に対する慎重な姿勢は、万国共通の医療倫理に基づいています。海外の情報を鵜呑みにして、「海外では18歳から使えるから大丈夫」と安易に個人輸入などに手を出すことは、非常に危険な行為です。どの国にいても、AGA治療は専門医の管理下で、自国のガイドラインに沿って安全に行うことが鉄則なのです。
世界のAGA治療と年齢制限!日本の現状と比較